ウイスキーの種類と見分け方——ラベルの英語がわかると、棚の前で迷わなくなる

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「ウイスキーはお好きですか?」

飲み会や贈り物を選ぶ場面で、そう聞かれたことがあるかもしれません。

「まあ、嫌いではないです」と答えたあとに、「シングルモルト派ですか? ブレンデッド派ですか?」と続くと、もう何を答えていいかわかりません。

スコッチ、バーボン、ジャパニーズ。シングルモルト、ブレンデッド、グレーン。ウイスキーの世界には、似たような英語がたくさん出てきます。全部覚えようとすると途方に暮れますし、味で区別しろと言われても、味の違いがわからない人間にはどうしようもありません。

私はしばらくの間、こうした言葉が出てくるたびに「詳しい人の世界の話だ」と思って、なんとなく聞き流していました。聞き返すのも恥ずかしいし、知ったかぶりするのも怖い。結局、曖昧に笑ってやり過ごす——ということを何度かやりました。

でも、あるとき気づいたのですが、これらの言葉はラベルにそのまま書いてあります。

そして、意味を少し知っているだけで、棚に並んだウイスキーが「全部同じに見える」状態から、「なんとなく性格の違いが見える」状態に変わります。

全部を覚える必要はありません。まず2つの言葉だけ知っておけば、棚の見え方はかなり変わります。

まず知っておきたい2つの軸——「作り方」と「産地」

ウイスキーの種類を表す言葉は、大きく分けると2つの軸で整理できます。

一つは「どうやって作ったか」。シングルモルトやブレンデッドは、こちらの話です。

もう一つは「どこで作られたか」。スコッチ、バーボン、ジャパニーズは、こちらです。

この2つは別々の軸なので、「スコットランドで作られたシングルモルト」も「日本で作られたブレンデッド」もあります。ラベルに書かれた言葉が、どちらの軸の話をしているかがわかると、一気に整理しやすくなります。

「作り方」の違い——まずはこの2つだけで十分

ラベルの読み方」の記事でも少しだけ触れましたが、ここではもう一歩踏み込んで、「どう感じればいいか」まで整理してみます。最初に知っておくと一番役に立つのは「SINGLE MALT」と「BLENDED」の2つだけです。

SINGLE MALT——「うちはこういうウイスキーを作っています」と差し出された一本

ラベルに「SINGLE MALT」と書かれていたら、そのウイスキーは一つの蒸留所だけで作られています。

正直に言うと、私は最初「SINGLE MALT」と書いてあるだけで、「これは詳しい人向けなんだろうな」と勝手に距離を感じていました。なんだか特別で、自分みたいな素人が手を出していいものなのかわからなかった。

でも意味はシンプルで、「シングル」は「一ヶ所の蒸留所」、「モルト」は原料が大麦であること。つまり、「一ヶ所の蒸留所が、大麦だけを使って作ったウイスキー」です。

山崎ボウモアグレンフィディックザ・マッカラン。どれもシングルモルトです。

シングルモルトは、その蒸留所が「うちはこういうウイスキーを作っています」と、そのまま差し出している感じです。一つの蒸留所の個性がそのまま出ているので、贈り物で渡すときにストーリーを添えやすい。

「これは山崎っていう、日本で最初にできたウイスキー蒸留所で作られたものでね」と一言添えられるだけで、ただのお酒が「選んだ理由のある贈り物」になります。

BLENDED——いろんな個性を合わせて、届けやすい一本に仕上げたもの

ラベルに「BLENDED」と書かれていたら、複数の蒸留所のウイスキーを組み合わせて作られています。

これも正直に言うと、私は「BLENDED」を見たとき「混ぜ物」みたいなイメージを持っていました。シングルモルトの方が本物で、ブレンデッドはその下——と、なんとなく思い込んでいた。今思うとかなり恥ずかしいのですが、知らないとそう感じてしまうのも無理はないと思います。

でも、それは大きな誤解でした。

はブレンデッドウイスキーですが、世界的な品評会で何度も最高賞を受賞しています。シーバスリーガルもブレンデッドです。

ブレンデッドは、複数の蒸留所の個性を組み合わせて、「こういう人に届けたい」と思える一本に整えたもの。シングルモルトが「うちの蒸留所はこうです」と差し出す一本なら、ブレンデッドは職人が「いろんな原酒の中から、これが一番いいバランスだと思いました」と仕上げた一本です。

こだわりの方向が違うだけで、どちらが上ということはありません。

むしろ、日本で最も親しまれているウイスキーの多くはブレンデッドです。角瓶もブレンデッド。ウイスキーの売上の大半をブレンデッドが占めていることを知ったとき、「自分が思い込んでいた序列は、全然違ったんだな」と感じました。

それ以外の種類は、出会ったときに知ればいい

ラベルを見ていると、「SINGLE GRAIN」や「BLENDED MALT」と書かれたものにたまに出会うことがあります。

知多のラベルには「SINGLE GRAIN」と書かれています。これは、一つの蒸留所で、大麦以外の穀物も使って作られたウイスキーという意味です。

こうした種類もありますが、最初から全部覚える必要はまったくありません。まずは「SINGLE MALT」と「BLENDED」の2つだけ押さえておけば、棚に並んだウイスキーの大半は「ああ、これはこっちのタイプだな」とわかるようになります。

残りは、ラベルで見かけたときに「そういえばこんな種類もあったな」と思い出せれば十分です。

「産地」の違い——ラベルが纏っている空気の正体

ウイスキーの「作り方」がわかったら、次はもう一つの軸、「産地」です。

産地の違いは、味の違いというより、「そのボトルが纏っている空気」の違いだと思うとわかりやすいです。同じウイスキーでも、スコットランド生まれとアメリカ生まれでは、ラベルの雰囲気がまるで違います。

SCOTCH——「伝統」の空気を纏ったウイスキー

ラベルに「SCOTCH WHISKY」や「PRODUCT OF SCOTLAND」と書かれていれば、それはスコットランドで作られたウイスキーです。

ウイスキーと聞いて最初に思い浮かぶ人も多い、いわば「本場」と言われることが多い産地です。

ボウモアザ・マッカラングレンフィディックタリスカーシーバスリーガル。このサイトで紹介している銘柄にも、スコッチはたくさんあります。

ボトルを手に取るとわかるのですが、スコッチのラベルは歴史を感じさせる重厚なデザインが多いです。創業年が200年以上前のものもあり、ラベル全体が「伝統」や「格式」の空気を纏っています。

「きちんとしたものを贈りたい」「フォーマルな場面で失礼のない一本を選びたい」——そういうときに、スコッチのラベルが持つ空気は、自分の代わりに「ちゃんとしたものですよ」と伝えてくれます。

BOURBON——「気取らない親しみやすさ」を持ったウイスキー

ラベルに「BOURBON」や「KENTUCKY STRAIGHT BOURBON」と書かれていれば、アメリカのバーボンウイスキーです。

「バーボン」と名乗るためには、ちゃんと決められたルールがあって、どんなウイスキーでも自由に「バーボン」と名乗れるわけではありません。つまりラベルに「BOURBON」と書いてあること自体が、一定のルールを守って作られている証でもあります。

メーカーズマークワイルドターキーフォアローゼズ。バーボンの銘柄は、赤い封蝋や力強いロゴなど、ラベルやボトルにもアメリカらしい率直さや親しみやすさが出ているものが多い印象です。

私はバーボンのボトルを初めて手に取ったとき、スコッチとは明らかに雰囲気が違うなと感じました。うまく言えないのですが、スコッチが「格式」なら、バーボンは「気取らなさ」。肩の力が抜けている感じがしました。

「堅くなりすぎたくないけど、ちゃんとした一本を渡したい」「相手との距離を近づけたい」——そういう場面では、バーボンのラベルが持つ空気の方がしっくりくることがあります。

JAPANESE WHISKY——「静かな美しさ」が伝わるウイスキー

ラベルに「JAPANESE WHISKY」や「DISTILLED IN JAPAN」と書かれていれば、日本で作られたウイスキーです。

山崎白州知多。日本のウイスキーは、国際的な品評会で受賞を重ね、世界的に評価が高まっています。

ジャパニーズウイスキーのボトルを並べてみると、スコッチともバーボンとも違う空気があることに気づきます。和紙を使ったラベル、筆文字、余白を活かしたデザイン。主張しすぎない、でも手に取ると「丁寧に作られている」と感じさせる静けさがあります。

海外の方への贈り物にはもちろんですが、「日本のものを贈りたい」「和の雰囲気を感じてもらいたい」という場面では、ジャパニーズウイスキーのラベルが言葉以上に伝えてくれるものがあります。

ただし、価格の記事でも触れたように、人気の高まりと供給不足によって価格が上がっている銘柄もあります。予算との相談は必要です。

IRISH・その他——世界にはまだまだある

アイリッシュウイスキー(アイルランド)、カナディアンウイスキー(カナダ)、そして近年増えている台湾やインドのウイスキーなど、産地は世界中に広がっています。

最初は、スコッチ・バーボン・ジャパニーズの3つを押さえておけば、棚で見かけるウイスキーの大半はカバーできます。他の産地は、出会ったときに「こんなところでも作っているんだ」と楽しめれば十分です。

ここまで読んで、「格式のスコッチ、気取らないバーボン、静かなジャパニーズ……じゃあ自分はどれが合うんだろう?」と思った方は、「ウイスキーえらび診断」で4つの質問に答えてみてください。産地や種類の相性が、少し見えてきます。

「種類がわかる」と、棚の前が少し怖くなくなる

ラベルを読んでみる

たとえば、棚にボウモア 12年が並んでいたとします。

ラベルには「SINGLE MALT SCOTCH WHISKY」「AGED 12 YEARS」「ESTABLISHED 1779」と書いてあります。

ここまで読んできた方なら、こう感じられるはずです——「スコットランドの蒸留所が、”うちはこういうウイスキーを作っています”と差し出している一本。12年間熟成されていて、蒸留所は1779年からやっている」。

全部を正確に説明できなくていいのです。「何が書いてあるか、まったくわからない」という状態ではなくなった。それだけで、棚の前に立つ気持ちはかなり違います。

「何派ですか?」と聞かれても

「シングルモルト派ですか? ブレンデッド派ですか?」

以前なら、この質問が来た瞬間に身構えていたと思います。

でも、シングルモルトは蒸留所がそのまま差し出している一本、ブレンデッドはいろんな原酒を合わせて届けやすく仕上げた一本——という違いをなんとなく知っているだけで、「最近は蒸留所ごとの違いが気になっていて」とか「ブレンデッドの方が気軽に楽しめる気がして」と返せるようになります。

正解を答えることより、「何を聞かれているかがわかっている」ことの方が、気持ちは楽になります。

まとめ

シングルモルト、ブレンデッド、スコッチ、バーボン、ジャパニーズ。

最初は、どれも同じに聞こえていました。酒屋の棚も、ウイスキーの話題も、知らない英語が並んでいるだけで、居心地が悪かった。「詳しい人の世界」に自分は入れない気がしていました。

今でも、全部の違いをすらすら説明できるわけではありません。

でも、「SINGLE MALT SCOTCH WHISKY」という文字をラベルに見つけたとき、「この蒸留所が、”うちのウイスキーはこうです”と出している一本なんだな」と思えるようになりました。「BLENDED」と書いてあるのを見ても、「混ぜ物」ではなく、「いろんな原酒を合わせて、誰かに届けたくて作られたウイスキーなんだな」と感じるようになりました。

それだけのことですが、前よりも少し、棚の前で立ち止まらなくなりました。

ラベルの文字をもっと詳しく読んでみたくなったら、「ウイスキーのラベルの読み方」もあわせてどうぞ。値段の違いが気になったら、「ウイスキーの値段はなぜこんなに違う?」で整理しています。


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※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
※価格は記事執筆時点のものです。最新の価格は各販売サイトでご確認ください。

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