白州のラベルに隠された「森」の正体——コンビニのあの天然水と同じ水源で造られている

ウイスキー
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[ラベル写真: 白州 ボトル正面]

「白州」を初めて手に取った理由は、瓶が緑色だったから。それだけです。

棚に並ぶ茶色いウイスキーの中で、一本だけ深い緑色のボトルが目に入りました。「なんか綺麗だな」と思って手に取ったものの、「白州って何が特別なの?」と聞かれたら、「瓶が緑」としか答えられない。

それはそれで、ちょっと恥ずかしい。

でも、ラベルをじっくり読んでみたら、「瓶が緑」以外の理由がたくさん見つかりました。しかもその中に、コンビニで誰もが見たことのある「あの商品」との意外なつながりが隠されていたのです。

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「SINCE 1973」——山崎の50年後に生まれたもう一つの蒸留所

ラベルの上部に、小さく金色で刻まれた「SINCE 1973 YEAR」。

1923年、サントリーの創業者・鳥井信治郎が日本初のモルトウイスキー蒸留所「山崎蒸溜所」を京都に建てました。それからちょうど50年。

1973年、2代目社長の佐治敬三が、ある決断をします。「山崎とはまったく違う環境で、もう一つのウイスキーを造ろう」と。

当時の日本はウイスキーブームの真っ只中。サントリーオールドやトリスが飛ぶように売れていた時代です。佐治は、ウイスキーの原酒にもっとバリエーションが必要だと考えました。

そして選ばれたのが、南アルプス・甲斐駒ヶ岳の麓。標高708メートルの森の中でした。

東京スカイツリーよりも高い場所。山崎蒸溜所より年間平均気温が5℃低い冷涼な高地です。敷地面積は約82万5,000平方メートル——東京ドーム約17個分で、日本最大のウイスキー蒸留所です。

そしてここからが驚くところで、その広大な敷地の83%は、自然保護のために手つかずのまま残されています。蒸留所というより、森の中にウイスキー造りの設備が点在している、と言った方が正確かもしれません。

「森の蒸留所」——白州がそう呼ばれる理由です。

コンビニのあの天然水と、同じ水源

白州蒸溜所の仕込み水は、コンビニでおなじみの「サントリー天然水(南アルプス)」と同じ水源です。

南アルプスの山々に降った雨や雪解け水が、花崗岩の地層を約20年かけてゆっくりろ過される。その水でウイスキーが造られています。

正直に言うと、これを知ったとき少し驚きました。あのペットボトルの天然水と同じ水源で造られているウイスキーが、目の前のこの緑のボトルなのか、と。

ラベルに「The distillery surrounded by forest(森に囲まれた蒸留所)」とひっそり書かれた一文は、キャッチコピーではありません。白州のアイデンティティそのものです。

「なんで白州にしたの?」と聞かれたとき、「コンビニで売ってるサントリー天然水と同じ水源のウイスキーなんだよ」と言えたら、「瓶が緑」よりはずっとましな答えになります。

味噌蔵と同じ理屈——消えつつある木桶発酵

多くのウイスキー蒸留所がステンレス製の発酵槽を使う中、白州蒸溜所ではベイマツ製の木桶を18基も使い続けています。

木桶は温度管理が難しい。でも、木に住みつく乳酸菌などの微生物が発酵に関わることで、ステンレスでは生まれない複雑さが原酒に加わります。味噌や醤油の蔵で木桶が重宝されるのと同じ理屈です。

さらに、形も大きさも異なるポットスチル(蒸留器)が16基。これほど多様な蒸留器を持つ蒸留所は世界的にも珍しく、一つの蒸留所の中で何十種類もの原酒を造り分けています。

ポットスチルとは、ウイスキーの原酒を造るための銅製の蒸留器のこと。その形状によって仕上がりが変わるので、形の違うものを複数持つことが、原酒の多様性につながっています。

ラベルに隠された「緑」のメッセージ

改めてラベルを見てみると、小さなラベルの中に白州のストーリーが凝縮されていることに気づきます。

「THE HAKUSHU SINGLE MALT WHISKY」の英字ロゴは緑色で印字されています。実は以前のラベルでは、この文字は黒色でした。ラベルリニューアルの際に、森のイメージを象徴する緑色に変更されたのです。ボトルの緑、ラベルの緑——白州は「色」で森を語っています。

ラベル中央には書道体で堂々と「白州」の二文字。英字ロゴとのバランスが、「日本のウイスキー」であることを視覚的に、一瞬で伝えています。

そして旧ラベルでは「SINGLE MALT WHISKY」だった表記が、現行では「SINGLE MALT JAPANESE WHISKY」に変わりました。たった一語の追加ですが、この「JAPANESE」には重みがあります。

白州25年は2018年にISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で最高賞「トロフィー」を獲得。白州18年もISC金賞を11回受賞しています。ラベルに刻まれた「JAPANESE」の一語には、世界に認められた歴史が込められています。

旧ラベルの見分け方——ボトルの価値が変わる手がかり

白州のラベルは、時代とともに静かに変わってきました。もし自宅や実家に古い白州があれば、ラベルを見るだけでどの時代のボトルかがわかります。

世代特徴
旧ラベル英字が黒色。「SINGLE MALT WHISKY」表記
現行ラベル英字が緑色に変更。「JAPANESE」の一語が追加
100周年記念ラベル(2023年)蒸留所の全景イラストを描いた特別デザイン

2023年の100周年記念ラベルは、サントリーウイスキー100年の歩みを記念した特別なもの。NV(ノンヴィンテージ)には森に囲まれた蒸留所の全景が、12年にはウイスキー博物館が描かれました。

見分けのポイントは英字の色です。黒なら旧ラベル、緑なら現行。

もし家に白州が眠っていたら

白州は近年のジャパニーズウイスキーブームで、価値が大きく上がっている銘柄です。特に旧ラベル(黒文字)のボトルや年数表記のあるものには、プレミア価格がついています。

ボトル定価(税込)買取相場(2026年)
NV 700ml8,250円(2026年4月〜)定価前後
12年 700ml17,600円(2026年4月〜)約18,000円
18年 700ml約55,000〜62,000円
旧ラベル(黒文字)12年さらにプレミア

12年は定価を超える価格で取引されています。「昔もらったけど棚に置いたまま」「実家の食器棚の奥に眠っている」という方は、まずラベルの英字の色を確認してみてください。黒文字なら旧ラベルで、想像以上の価値があるかもしれません。

飲む予定がないなら、一度価値を確認してみるのも、お酒との付き合い方の一つです。

サントリーのウイスキーをもう少し知りたくなったら

白州は、サントリーのシングルモルト三蒸留所の一つです。「SINCE 1923」のラベルを持つ山崎は、白州の50年前に京都で始まった日本最古の蒸留所。「崎」の中に「寿」の一文字が隠されたラベルの話は、山崎の記事で書いています。もう一つの知多は、和紙のラベルに筆文字で「風」を表現した個性的な一本です。

ウイスキーのラベルに書かれた英語の意味が気になった方は、「ウイスキーのラベルの読み方」で整理しています。種類の違いが知りたくなったら「ウイスキーの種類と見分け方」もあわせてどうぞ。

基本情報

項目内容
正式名称サントリー シングルモルトウイスキー 白州
英名THE HAKUSHU SINGLE MALT JAPANESE WHISKY
蒸留所白州蒸溜所(山梨県北杜市)
種類シングルモルト ジャパニーズウイスキー
アルコール度数43%
容量700ml
希望小売価格NV: 8,250円 / 12年: 17,600円(税込・2026年4月〜)
蒸留所設立1973年
主な受賞歴白州25年: ISCトロフィー(2018)/ 白州18年: ISC金賞11回

シングルモルトとは、一つの蒸留所で造られた大麦麦芽100%のウイスキーのことです。

こういう方には合う一本です

「瓶が緑色だから」で手に取っても、もちろん構いません。でもラベルに刻まれた「1973」の意味、コンビニの天然水と同じ水源で造られていること、83%が森のままの蒸留所のこと——ほんの少しでも知っていると、手に取る理由が「緑色だから」以外に一つ増えます。

その一つがあるだけで、「なぜこれを選んだの?」と聞かれたときの気まずさは、かなり軽くなりました。

口コミや在庫状況は、各ショップのページでも確認できます。

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※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
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