[ラベル写真: 知多 ボトル正面 — processed_chita_front.jpg]
ラベルを眺めてみよう
手に取ると、まず印象的なのは、ボトルの透明感。
山崎の琥珀色のボトル、白州の深い緑色のボトルとは対照的に、知多は透き通ったガラスをそのまま使っています。中の液体の淡い黄金色が、何も隠さずそこにある。
ラベルは白い和紙。その中央に、力強くも繊細な墨の筆跡で「知多」の二文字。
ラベル下部には、控えめに「THE CHITA」「SINGLE GRAIN JAPANESE WHISKY」の英字。そして小さく「SINCE 1972」。
キャップシールに目を移すと、白銀の地に濃藍(こいあい)の線が何本も引かれています。
このラベルには、一つのテーマが貫かれています。それは「風」。
「知多」の二文字を書いた人
ラベルの「知多」を書いたのは、書家・墨象家の荻野丹雪(おぎの たんせつ)氏です。
荻野氏は、NHK大河ドラマ「新選組!」の題字を手がけるなど、書と現代美術の境界を超えて活躍する芸術家。
そして実は、サントリーウイスキーの題字を手がけるのは「響」以来、25年ぶりのことでした。
あの「響」の文字も、知多の「知多」も、同じ書家の筆から生まれている——山崎・白州が漢字ロゴを印刷体で表現しているのに対し、響と知多だけが書家の肉筆を宿している。
この二文字は、ただの商品名ではありません。荻野氏が墨と筆で表現したのは、グレーンウイスキーの持つ「軽やかさ」と「奥深さ」。しなやかさとダイナミズムが共存する筆致は、知多というウイスキーそのものを映しています。
ラベルのデザインを読み解く
和紙——手で触れてわかる日本
知多のラベルには本物の和紙が使われています。
山崎の金色基調の重厚なラベル、白州の緑基調の爽やかなラベルとは違い、知多が選んだのは静謐な白。和紙特有の温かみのある質感は、画面越しでは伝わりにくい——手に取って触れたとき、微妙な繊維の凹凸を指先が感じます。
和紙は日本で1,000年以上の歴史を持つ素材です。2014年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。知多がラベルに和紙を選んだのは、「日本のウイスキー」であることを、文字ではなく素材そのもので語るためです。
濃藍のキャップシール——風の視覚化
ボトル上部のキャップシールに注目してください。白銀の地に、濃藍(こいあい)の線が何本も引かれています。

この線が表現しているのは「風」です。
知多蒸留所は、愛知県知多半島の伊勢湾に面した場所にあります。伊勢湾からの海風が蒸留所を吹き抜ける——その風を、濃藍の線で視覚化しているのです。
濃藍は日本の伝統色の一つ。白い和紙ラベルの中で、このキャップシールだけが唯一の色のアクセントになっています。
「SINCE 1972」——50年以上の縁の下の力持ち
ラベルに小さく刻まれた「SINCE 1972」。知多蒸留所が設立された年です。
1972年は、サントリーの山崎蒸留所(1923年設立)から約50年後。ところが、知多蒸留所が「知多」として世に出たのは、そこからさらに43年後の2015年のことでした。
では、それまでの43年間、知多蒸留所は何をしていたのか?
43年間の沈黙——「サイレントスピリット」の物語
知多蒸留所は1972年、サントリーとJA全農(全国農業協同組合)の共同出資で設立されました。運営会社の名前は「サングレイン」。サントリーの「サン」と穀物を意味する「グレーン」を組み合わせた名前です。
この蒸留所で作られていたのは、グレーンウイスキー。モルトウイスキー(大麦麦芽で作るウイスキー)とは異なり、トウモロコシなどの穀物を原料に、連続式蒸留機という大型の装置で蒸留するウイスキーです。
グレーンウイスキーは、業界で「サイレントスピリット(静かなる蒸留酒)」と呼ばれます。なぜ「静か」なのか?
それは、グレーンウイスキーがほとんどの場合、ブレンデッドウイスキーの「土台」として使われ、表舞台に出ることがないからです。モルトウイスキーの個性を引き立て、全体を調和させる「接着剤」のような役割。オーケストラでいえば弦楽器のような存在。ソリストのように目立つわけではないけれど、その厚みがなければ音楽は成立しない。
知多蒸留所は43年間、まさにこの「静かなる存在」としてサントリーのウイスキーづくりを支えてきました。
響を支える「三本柱」
知多のグレーン原酒がどれほど重要かは、響(HIBIKI)の構造を知るとわかります。
サントリーの最高級ブレンデッドウイスキー「響」は、3つの蒸留所の原酒をブレンドして作られています。
| 蒸留所 | 設立年 | 原酒の種類 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 山崎(大阪) | 1923年 | モルトウイスキー | 華やかさ、重厚さ |
| 白州(山梨) | 1973年 | モルトウイスキー | 爽やかさ、軽やかさ |
| 知多(愛知) | 1972年 | グレーンウイスキー | なめらかさ、調和 |
つまり知多を手に取るということは、「響」を構成する三本柱の一つを、単独で知るということでもあるのです。
2015年に知多が初めてシングルグレーンとして発売されたとき、それはサントリー11年ぶりの新ブランドであり、「サイレントスピリット」が43年の沈黙を破って表舞台に立った瞬間でした。
知多蒸留所の「すごさ」
1つの蒸留所で3つの個性
知多蒸留所では、連続式蒸留機の操作条件を変えることで、3つのタイプのグレーン原酒を造り分けています。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| クリーン | 透き通るようにピュア。軽やかさの基盤 |
| ミディアム | 穀物由来の旨味が際立つ。バランスの要 |
| ヘビー | 厚みと深みがある。奥行きを生む |
さらに、これらを異なる樽(ホワイトオーク、スパニッシュオーク、ワイン樽など)で熟成させることで、約10種類もの原酒が生まれます。一つの蒸留所の中でこれだけの多様性を生み出す技術は、世界的にも珍しいとされています。
日本最大の生産能力
知多蒸留所の年間生産能力は約5,400万リットル。500mlのペットボトルに換算すると約1億800万本。日本の人口とほぼ同じ数のペットボトルを、毎年作れるだけの生産能力を持っています。
2019年からは総額約100億円を投じた大規模改修も行われ、さらに生産能力を拡大しています。
「風」を感じるデザイン
改めてラベルを見てみましょう。すべてのデザイン要素が「風」というテーマに向かって設計されていることがわかります。
| 要素 | 表現 |
|---|---|
| 白い和紙ラベル | 風に舞う和紙のような軽やかさ |
| 荻野丹雪氏の書 | 筆の運びに風の動きを感じさせるしなやかさ |
| 透明ボトル | 風を通す透明感 |
| 濃藍のキャップシール | 伊勢湾の海風を線で視覚化 |
| ミニマルな色使い | 白と藍だけ。余白が「風の通り道」 |
山崎が「水」、白州が「森」をテーマにしているとすれば、知多のテーマは「風」。三兄弟はそれぞれ異なる自然の力をまとっています。
もしお家に知多が眠っていたら
知多は2024年4月の値上げで、希望小売価格が税抜4,000円から6,000円へと約50%上がりました。それに伴い、買取相場も上昇しています。
通常品の買取価格は箱付きで約3,000〜4,000円(2025年時点)。
もし「知多を買ったけど、なかなか開けないまま」という方がいれば、一度その価値を確認してみても良いかもしれません。
ラベルが古いお酒や見慣れないボトルは、思わぬ価値がつくこともあります。
古いお酒の価値を無料でチェックしてみる(福ちゃん)
こんなシーンに知多を
父の日のプレゼントに
知多は、和の美意識ごと贈れるお酒です。
「なんで知多にしたの?」と聞かれたら、こう答えられます——
「知多のラベルの『知多』って文字、あの『響』と同じ書家さんが書いてるんだって。しかも響以来25年ぶりの揮毫らしいよ。ラベルは本物の和紙だし、キャップの藍色の線は蒸留所に吹く海風を表現してるんだって」
味の感想ではなく、デザインと文化のストーリーを添えて贈れるお酒。6,000円台という価格帯も、父の日に「ちょっと特別なものを」と考えたときにちょうどいいラインです。
「響が好きなお父さん」に
もしお父さんが響を好きだと知っているなら、知多は完璧な選択です。
「響を構成する三本柱の一つ」というストーリーを添えて贈れば、ウイスキー好きなお父さんの知的好奇心をくすぐること間違いなし。「じゃあ山崎も白州も試してみるか」と、新しい楽しみのきっかけにもなるかもしれません。
醸造文化が好きな方に
知多蒸留所がある知多半島は、醸造の里としても知られています。
味噌で有名な八丁味噌、酢のミツカン(半田市)、そして焼き物の常滑焼——いずれも知多半島のものづくり文化から生まれたもの。知多ウイスキーもまた、この土地の醸造文化の延長線上にあります。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | サントリーウイスキー 知多(THE CHITA) |
| 英名 | THE CHITA SINGLE GRAIN JAPANESE WHISKY |
| 蒸留所 | 知多蒸溜所(愛知県知多市) |
| 種類 | シングルグレーン ジャパニーズウイスキー |
| アルコール度数 | 43% |
| 容量 | 700ml |
| 希望小売価格 | 6,600円(税込) |
| 蒸留所設立 | 1972年 |
| 発売年 | 2015年(シングルグレーンとして初発売) |
| 現オーナー | サントリーグローバルスピリッツ |
| 主な受賞歴 | ISC 金賞(2020) |
※シングルグレーンとは、一つの蒸留所でトウモロコシなどの穀物を主原料に造られたウイスキーのこと。大麦麦芽100%のシングルモルトとは製法が異なります。
知多を手に入れるには
知多は値上げ後も人気が高く、店頭での入手が難しくなっている場合があります。以下のリンクから在庫状況を確認できます。
[アフィリエイトリンク: Amazon — 知多 700ml]
[アフィリエイトリンク: 楽天市場 — 知多 700ml]
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。
リンクを経由してご購入いただいた場合、当サイトが報酬を受け取ることがあります。
※価格は記事執筆時点のものです。最新の価格は各販売サイトでご確認ください。


