メーカーズマークの赤い部分の正体——封蝋を一本ずつ手で垂らす、妻マージーの物語

ウイスキー
PR:本サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を利用しています。紹介料を得ていますが、記事内容は客観的情報に基づき中立的に執筆しています。

初めてメーカーズマークを手に取ったとき、あの赤い蝋が袖についたことがあります。ボトルの首から垂れた蝋のかけらが、くっついて取れない。「なんでわざわざこんな面倒なことを」と思いながら調べてみたら、70年前のキッチンにたどり着きました。

先に要点だけ。
・ケンタッキー州のバーボンです。ネット通販で約2,600〜3,000円
・赤い封蝋は今も一本ずつ手作業。同じ形は二つとありません
・名前もラベルもロゴも、創業者の妻マージーが作りました
🎁 父の日は6月21日(日)です。贈る相手のタイプ別に6本を整理した父の日ウイスキーガイドもあわせてどうぞ。

ラベルを眺めてみよう

ボトルの首から不規則に流れ落ちた真っ赤な蝋。一本一本、形が違います。

ラベルに目を移すと、クリーム色の紙に「Maker’s Mark」の文字。その下の「Kentucky Straight Bourbon Whisky」をよく見ると、WhiskeyではなくWhisky——「e」が一文字足りません。

ラベル中央には、星と「S」と「IV」を組み合わせた小さなマーク。

この赤い蝋、足りない一文字、小さなロゴ。すべてに、ある一人の女性の物語が刻まれています。

全部、マージーが作った

1953年、ケンタッキー州ロレット。ウイスキー職人のビル・サミュエルズ・シニアが35,000ドルで古い蒸留所を買い取り、自分が本当に作りたい[バーボン](/whisky-types/)に取りかかりました。

ビルがウイスキーの中身を追求する一方で、ブランドの「外側」をすべて手がけたのが妻のマージーです。名前、ラベル、ロゴ、ボトルの形、そして赤い封蝋——デザインの専門教育を一切受けていない一人の女性が、メーカーズマークを「見た目」から作り上げました。

「Maker’s Mark」という名前は、イギリスのピューター(錫の食器)から着想を得ています。ヨーロッパの職人が自作の器に打つ小さな刻印を「maker’s mark(職人の印)」と呼ぶ文化があり、マージーは「一本一本手で作るウイスキーにも、職人の刻印を」と考えました。

ラベル中央のロゴにも意味が詰まっています。星は蒸留所のあるスターヒルファーム。「S」はサミュエルズ家の頭文字。「IV」はビルが一族4代目の蒸留家であることを示すローマ数字——1700年代初頭にスコットランドからアメリカに渡った一族の歴史が、生まれた赤ちゃんが大人になり、その子どもがさらに大人になるほどの世代を超えて、この2文字に込められています。

ラベルの書体もマージーの手書きから生まれた創作フォントで、波型に裁断されたラベルの縁は「一枚一枚手でちぎりたい」という彼女の主張を現実的な形に落としたものです。70年以上経った今も、どちらもそのまま使われています。

2014年、マージーは蒸留所運営に直接関わった女性として初めてケンタッキー・バーボンの殿堂入りを果たしました(女性としては5人目)。

キッチンの揚げ物器から生まれた赤い封蝋

封蝋のアイデアもマージーから生まれました。コニャック(フランスのブランデー)のコレクターだった彼女は、ヨーロッパで大切な手紙を蝋で封じる文化を知っていたのです。

最初の試作品が作られたのは、サミュエルズ家のキッチンでした。家庭用のディープフライヤー(揚げ物器)で蝋を溶かし、ボトルを浸して実験を始めています。天ぷらを揚げるような道具から、世界で最も有名なボトルデザインの一つが生まれたのです。最適な蝋の配合にたどり着くまで、6ヶ月の試行錯誤を重ねています。

色に赤を選んだ理由は明快でした。「お店の棚で一番目立つ色だから」。1950年代、封蝋に赤を使うのは珍しいことだったのです。

この封蝋は今もすべて手作業で行われています。約177℃——天ぷら油とほぼ同じ温度——に熱した蝋にボトルの首を浸し、素早く回転させ、垂直に立てる。機械なら1時間に200〜400本のところ、手作業では100〜200本。効率を半分に落としてでも、「一本一本が違う」ことにこだわり続けています。

だから、あなたが手に取るメーカーズマークの封蝋の形は、世界に一つだけのものです。

「Whisky」——なぜeがないのか

アメリカのウイスキーは通常「Whiskey」と綴りますが、メーカーズマークは[スコットランド](/whisky-regions/)式の「Whisky」を採用しています。サミュエルズ家の祖先が1700年代にスコットランドから渡ってきた移民であり、故郷への敬意がこの一文字の省略に込められています。

お家にメーカーズマークが眠っていたら

定番のレッドトップは現在も手頃な価格で流通しています。ただし、1995〜2004年に日本限定で販売されたブラックトップ(黒い封蝋)は事情が異なります。コレクター市場で約10,000〜20,000円で取引されることもあるため、実家の棚に古いメーカーズマークがあるなら、封蝋の色を確認してみてください。

ラベルが古いお酒や見慣れないボトルは、思わぬ価値がつくこともあります。
→ 古いお酒の価値を無料でチェックしてみる(福ちゃん)

こんな人に合う一本

  • 酒屋やスーパーの棚で「何を選べばいいかわからない」と迷ったことがある方。あの赤い封蝋が目印になります
  • デザインやブランドの背景に興味がある方。ラベルの記号一つ一つに語れるエピソードがあります
  • 初めて[バーボン](/whisky-types/)を選ぶ方。メーカーズマークはサントリーが日本で販売しているため、コンビニやスーパーでも見かける入手しやすい銘柄です

基本情報

項目内容
正式名称メーカーズマーク(Maker’s Mark)
蒸留所メーカーズマーク蒸留所(Star Hill Farm, ケンタッキー州ロレット)
種類ケンタッキー・ストレート・バーボン・ウイスキー
原料コーン70%、冬小麦16%、大麦麦芽14%
アルコール度数45%(90プルーフ)
容量700ml
価格帯想定小売価格 3,400円 / ネット通販 約2,600〜3,000円
蒸留所設立1953年
現オーナーサントリーグローバルスピリッツ

※バーボンとは、アメリカで造られる[ウイスキーの一種](/whisky-types/)。原料の51%以上にトウモロコシを使い、新品のオーク樽で熟成させたもの。ケンタッキー州が主産地として知られています。

→ Amazonで口コミも見てみる(メーカーズマーク 700ml)
→ 楽天市場で価格を見てみる(メーカーズマーク 700ml)


あの日、袖についた赤い蝋のかけら。結局うまく取れなくて、しばらくそのまま着ていました。でも今は、デザイン教育を受けていない一人の女性がキッチンの揚げ物器で作り出した70年分の物語だったと知っています。

蝋の形が一本一本違うのは、手作業の証。ラベルに並ぶ記号の一つ一つに家族の歴史が入っている。見た目で選ぶというのは、そういう物語ごと手に取ることなのかもしれません。


🔍 自分に合うウイスキーがわからない?
30秒診断で見つけてみる


この記事を読んだ方へ

同じアメリカンウイスキーの物語:

  • [ジャックダニエル Old No.7の意味](/jack-daniels/) — 黒ラベルに刻まれた、創業者だけが知る数字の謎
  • [I.W.ハーパーのラベルに並ぶ4つの金メダル](/iw-harper/) — ドイツ移民がケンタッキーの友人の名前で作ったバーボン
  • [ワイルドターキー](/wild-turkey/) — 七面鳥ハンティングから生まれた名前と、ラベルを守り続ける親子三代の物語

ウイスキーの基礎知識:

  • [ラベルの読み方](/whisky-label-guide/) — ラベルには、ちゃんと理由が書いてある
  • [種類と見分け方](/whisky-types/) — ラベルの英語がわかると、棚の前で迷わなくなる
  • [5大産地ガイド](/whisky-regions/) — ラベルの産地表記から個性を読む

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。

リンクを経由してご購入いただいた場合、当サイトが報酬を受け取ることがあります。

※価格は記事執筆時点のものです。最新の価格は各販売サイトでご確認ください。

ウイスキーえらび診断
味がわからなくても大丈夫。4つの質問に答えるだけで、あなたに合う一本が見つかります。
あなたに合うのは
── このタイプに合う銘柄 ──
タイトルとURLをコピーしました